Friday, January 7, 2011

黒人市長候補はCarol Moseley Braunに一本化、Danny Davisは脱落



 2月22日の市長選にむけて、RahmやChico等の白人候補に対抗する黒人候補者は当初、James Meeks、Danny Davis、Carol Moseley Braunの有力3候補が乱立、黒人票が分裂するとしてJesse Jacksonなどの“黒人リーダー”たちが懸念していた。   

 しかし、3候補のうち、サウスサイドのバプチスト・メガチャーチの黒人牧師で上院議員のJames Meeksは先日、ばく大な(と思われる)資産総額の公表などを拒否した後に、立候補を取りさげた…  黒人女性候補で元上院議員のCarol Moseley Braunについては「政治的には過去の人」と一蹴しているような記事も多かったが、黒人層には草の根的な支持も結構あるのかも?

*写真はBraun候補


 10月頃に、自分もBrynMawrの駅近くで背の高い黒人に“Maam”などと呼びとめられたりしてCarol Moseley Braunへの署名を求められた(彼は身なりから察して、HalpinとMeeksへの署名を集めていたとかいう、Homeless guyにはみえなかったが)そのときは新参者だったのでMoselay Braunが誰だか知らず、“彼女はポリスに拘束されているのか?”などと頓珍漢なことを尋ねてしまったものだ…すると“違う、彼女は市長に立候補している人だ”と説明をしてくれたが、それでも私がその人のことを知らないというと、がっかりして行ってしまった …  

 年末の金曜日、残る有力黒人候補のひとりDanny Davisが、Jesse Jackson師に説得されて立補を辞退したと報じられた。 Braunが強かったのは有力な黒人ビジネスマン、ComEd(イリノイ最大の電力会社)のCEOが彼女の支持を表明したのが最終的圧力になった、云々…。結局黒人層のもとめていた"コンセンサス候補”は、Carol Molesey Braun候補に絞られDavisは彼女の支持にまわると記者会見で述べた…

*ビデオ: Davisの市長選辞退の記者会見には、BraunとMeeksも同席 
http://abclocal.go.com/wls/video?id=7874278&syndicate=syndicate&section

…1月1日の記事 Davis drops out, endorses Braun His decision makes ex-senator sole major black candidate in mayoral race(黒人候補は一人に絞られる) 

 …前略:人種やエスニシティが大きな役割をはたすローカル・ポリティクスにおいて、いまやこの競争は、市の元教育委員長だったGery Chico、唯一のラティーノ大物候補で、市職員のMiguel del Valleが抜きん出ており、Braun及び、前ホワイトハウス大統領補佐官のRahm Emanuelと対戦している。

 ChicoはBraunとEmanuelを、即座に「ワシントンD.Cの政治家」と位置づけて、彼自身はシカゴの教育委員会やデイリー市長の側近として、市のために長年働いてきたということを強調した。 Chicoは、”私はすべての公共サービスの仕事で成功した、なぜなら私は民族や人種のラインを超えて協力関係を打ちたててきたから”、との声明を発した。

 とはいえEmanuelの選挙キャンペーンは、アフリカンアメリカン層からの支持票の獲得を諦めるものではない。Emanuelは、彼がバラク・オバマ大統領の補佐官だったことをうったえ──この国の最初の黒人大統領が、Emanuelが市長選出馬のために側近の職を辞した際には、彼を幾度も賞賛したことを強調した。 “我々は、我々が直面するすべての挑戦において、共にシカゴ市民の代理として働き、この街のすべての地域の求めるものについて人々に呼びかけねばならない”、とEmanuelは、その声明で述べた…


 コンセンサスを形成する努力がなされるなかでいまだに語られずにいるのは… 多くの政治的プレーヤーたちがぶっきらぼうな評価を下しているのだが… 黒人と白人の有権者たちが─ Harold Washingtonが1983年に最初のシカゴの黒人市長に選ばれて以来、20年以上たった今でも─ 人種にフォーカスを当てている、ということだ。Washingtonは、最初の任期を勝ち取った1083年の選挙戦で、唯一の黒人市長候補だった。黒人リーダーたちは、その選挙より以前から何千何万人もの票田(有権者)
を獲得していたのだが。

 Davisは、彼がBraunを推す理由は、単に彼女がアフリカン・アメリカンだからではない、と主張する。 "私は、ベストな候補者のもとに人々を統合したい”、とDavisはいう。“私の知っている誰もが皆、Carolが最良の候補者だと考えているから…。”

 当初、Davisは、“勝利に近づくために”、Braunへの支持を表明することで、すなわち自分が選挙戦をドロップアウトする、とは思っていなかった、という。しかし後には、もちろん自身の立候補には終止符を打つ、と表明した。 ”私は完全にレースをドロップアウトした。私はすべての熱意をかけて、Carol Moseley Braunを支持している”…
http://www.chicagotribune.com/news/elections/ct-met-danny-davis-01-01-20101231,0,5724476.story New York Timesの関連記事

Other Blacks Drop Out and Throw Support to Moseley Braun in Chicago Mayoral Race

 …Emanuelが世論調査で支持を集めはじめ、Bill Clintonが昨年1月に彼の選挙戦への協力を宣言して以降、アフリカン・アメリカンのリーダー層は再度(黒人層の)統一を呼びかけた。水曜日の夜にJesse.L.Jakson師がシカゴのSouth SideのRainbow PUSHの本部で会合を召集し、Braunや Davisその他が集まった会合は4時間に及び金曜日遅くまでにDavisは選挙戦を退くと宣言した。


(*Rainbow/PUSH : Jesse Jackson師が設立したNGO団体。社会的、政治的な啓蒙を黒人層等に呼びかけている)  政治と人種の問題は、この地で長らく複雑にからみ合ってきた。政治アナリストたちのなかには、人種の問題は…民族基盤や市の中の出身地域などと共に…以前ほど大きく票を分ける要因ではなくなるだろう、と予測する人々もいる。しかし、シカゴの選挙の歴史(Daley市長の就任以前の)はそれを指し示している: シカゴアンたちは1980年代に彼らの最初の黒人市長 Harold Washingtonを選出したが、それは”Council Wars(評議会同士の戦争)"と呼ばれるものに支配されていた時代だった…、白人代議士の多くがWashingtonの支持者たちと闘いを繰り広げ、シカゴ市は“Beirut on the lake”(ミシガン湖畔のベイルート…内戦の地)という痛ましいニックネームを得た。

 今週末の事態の発展は、確かにMs.Braunの選挙戦でのチャンスを拡大するようにも見える。しかしその効果は、いまだに完全にあきらかでない。63歳のMs.Braunは1992年、上院議員として選ばれた最初の黒人女性として巨大な注目を集めたが2期目の選出を逃し、最近では政治的な視野から消えていた。Ms.Braunは今やEmanuelやChico、市職員のMiguel del Valleとともに、続々と減り続ける市長候補者のなかに居すわっている…
http://thecaucus.blogs.nytimes.com/2011/01/01/other-blacks-drop-out-and-throw-support-to-mosley-braun-in-chicago-mayoral-race/?scp=1&sq=Danny%20Davis&st=cseJanuary

 …Braunにとっては、DavisとMeeksの支持者層と、世論調査時には支持者が未定だった浮動層(黒人有権者層の30%)の統合が仕事になる…また黒人ビジネス・リーダーの資金援助を得ねばならない。 この戦略は1983年に、Washingtonが市長に選出された際にアフリカンアメリカンのリーダー達が行った一つの戦略に類似する。Washingtonは黒人層のコンセンサス候補だったが、2人の白人候補者がその支持層を分裂させてしまったのち、民主党の予備選挙において37%の票を得た。その後彼は本選では共和党から出たが、lakefront地域のリベラルな有権者からも支持された…こうした有権者らがBraunに魅力を感じ続けるかどうかには疑問がある。

 Washingonは人種を超えた支持層によって再選されたが、彼の死後そのような同盟関係は粉砕された。Daleyは1989年に白人とラティーノ層による支持の強さから市長に選ばれたが、前任者のWashingtonのように、彼はコアとなる支持層を超えて市のあらゆる問題にとりくむと同時に、他のエスニック・グループとも協働して、契約の効力や、雇用やインフラの改善につとめた。

 人種間の紛争をあおる多くの問題は、依然として残っている─たとえばトラブルを抱える学校や、犯罪、貧弱な雇用市場、その多くが人種別に隔離された住宅や地域の問題、また市の乏しい財政やリソースの統合の問題などがある。

 彼女にはまだ逆風となる問題がある。1992年に上院議員に選ばれた際、彼女は政治力の頂点をきわめたが、彼女の任期は破滅的だった。彼女は再選を目指す上院選での資金濫用疑惑で捜査を受け、またナイジェリア旅行の際にその独裁者と(勝手に)会合した事で論議を呼び、そして上院選で当時無名の共和党候補に敗れた。その後、クリントン大統領は彼女をニュージーランド大使に任命した。

 …1998年に彼女は再選を目指さないと言明したが、2004年に短期間民主党の大統領選に出馬、アイオワ州予備選の前にリタイヤした。彼女はその後自分の食品会社(最近ではオーガニック・コーヒーと紅茶の会社、Ambassador Organics)を設立した…
http://www.chicagotribune.com/news/local/ct-met-mayor-race-0102-20110101,0,6312012.story *彼女は世論調査では黒人3候補中、最下位だったとか。近年は事業経営が不振で財政的な窮乏状態にあったという… 先代市長たちのようなカリスマ性と統合力をもてるのだろうか?



(*左:Carol Moseley Braun, 右:Danny Davis) 





*ChicagoのPublic Library(Harold Washington Library)にその名を残す2代前の黒人市長、故Harold Washingtonは黒人層に今でも慕われている!(Chicagoの黒人の前で彼を知らないといったら呆れられる)

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